橙に包まれた浅い青

受賞・入選など14篇。 写真詩・イラスト詩・ポエム動画など2333篇以上を公開。

2008年03月

                   軽やかに飛んでいくことができたなら
                   願い続けた真っ直ぐな眼差し達



                   どこかで見失ってしまっていたんだ
                   明度も彩度も含め   あらゆる鮮度を



                   あきらめていない分     胸は痛むよ
                   輝いている姿がある分    胸は軋むよ






                   もどかしい胸で沈んでゆけるなら
                   どれほど楽だろう   数え切れないほど考えてきた


 
                   その度に
                   望まずとも沈みゆく運命の只中で
                   精一杯 刻みつけている様々な姿に胸を打たれ
                   もどかしさはあふれるばかりだった







                   思い浮かべれば半分現実に近づいている気はしたのに  
                   あと一歩   遠すぎるのが世の常





                   だから
                   僕等は軽やかに飛べなくても


                   軽やかに泳げればいい  
                   凛と佇んでいられればいい
                   ぶれることなく駆け抜けられればいい





                   色々言い聞かせつつ  励ましつつ


                   いつか  一度でいいからと願うんだろうね































                         そんな無難なカタルシス




                         そんな無難を語る椅子

     涼しげに揺らすオレンジ柄のチュニック
     似合いすぎるよ   その肌色に寄り添ってるようで






     向かう海岸までの少し混雑した電車
     僕は少し勇気がなくて
     妹の手を引きながら君との夏      一瞬一瞬噛みしめた







     出逢わなければよかった   この夏も  

     いつかそんな風に思い出すのかな            切な過ぎるくらい塞ぐおぼろげな約束







     夜空に咲いては散りゆく花々
     何よりも眩しく輝く華のようで

















     向こう岸で慌しくゆらめく人影
     僕は少し勇気づけられて
     眠る妹を肩車しながら君との夏     初めて一度手をつないだ







     出逢わなければよかった   この夏も

     いつかそんな風に思い出すのかな            切なすぎるくらい紡ぐ儚げな時間






     夜空に咲いては散りゆく花々
     照らす笑みが何よりも眩しく輝く華のようで















     出逢わなければよかった    この夏を

     いつかそんな風に思い出す予感はなくなるのかな





                                           出逢ってよかった     この夏も

                                           いつかそんな風に思い出せるのかな

                      待ち望む奇跡より
                      作り上げていく現実







                      降りてくる偶然より
                      拾い集めていく現在







                      嘆いてゆく今日より
                      駆け抜けていく一瞬







                      忘れてゆく昨日より
                      迎えにいく未来














                       時の裏側へ
                            潜るように飛びたて






                       今の深層へ
                            昇るように飛び込め









                        全勢力で 全速力をもって



                                 光に 音に    なってしまえ

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