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忘れることはない。
毎年、この日が近づくと必ず思い出す。
 
 
忘れることはない。
忘れても、忘れても、思い出す。
忘れても、忘れても、思い出さざるを得ない。
 
 
毎年、毎年、これからもずっとそうだろう。
何をしていたのか、あの日。
どこで何をしていたのか、あの日。
 
 
一人一人が思い出す。
何をしてきたのか、あの日から。
どこで何をしてきたのか、あの日から。
 
 
一人一人が振り返る。
この日が近づいてくるたびに
忘れていたことを思い出したり
忘れてはならないと、誓いを新たにする。
それは調子のいい話でもある。
 
 
だけど
私たちはすべてを覚えておくことはできないから
調子のいい話でも
世界は一つであるかのように
世界は一体であるかのように
毎年、この日を迎えていく。
 
 
どんなに忘れないようにしても少しずつ忘れていくから。
どんなに覚えていても
都合の悪いことは忘れ、都合のいいことばかり覚えていくから。
 
 
あの日を
過度な悲観に染めきった記憶にしないためにも。
あの日を
過度な楽観に染めきった教訓にしないためにも。
 
 
忘れてはならないことを徐々に忘れていく私たちは
忘れても構わないことをずっと覚えていてしまう私たちは
この日が来るたびに思い出す。この日が来るたびに語り合う。
 
 
調子のいい話ではあるが
そうやって私たちは
忘れてはならないことと
覚えておかなくてもいいことを振り分けていく。
 
 
生きていくために。
生かしていくために。
活かし続けていくために。
忘れても、忘れても、忘れても、忘れないために。