振り返る
べき時じゃない時に振り返り
ああでもない
こうでもない
結論なき迷路へと進んで迷い込む

何もかもが
芳しい手招きで誘っている
目移りさせていては消失の一途だよ

何を犠牲にして
何を無駄にして
ここまで来たのかなんて考えても
それらしい答えなど
それらしい応えなど

永劫回帰を思わせるしぶとさで
命題は巡り巡って
さっき昇ったばかりの陽を落としていく

その横顔だけで満たされたなら
こんなに悩まずに済んだのかもしれない
時間軸に犯されてしまった
「孤独」とはもう呼べない鬱を抱えながらも

わたしは振り返るのだろう
何度も、何度も、こうして振り返るのだろう
それだけは確実だ
それだけしか確実なんてないんだ



( 第64回 瀬戸市文芸発表会 詩 入選 )