橙に包まれた浅い青

受賞・入選など14篇。 写真詩・イラスト詩・ポエム動画など2333篇以上を公開。

カテゴリ: 想送創送


やっちまえ
勢いに乗って
計画などなくても

ぶちかませ
直感に従って
戦略なんてなくても

叫びたくなるほど
猛暑の燃えるモーション
真に受けて
悪戯な海に飛び出して

溶け落ちるほど
猛暑に押されて
こころモーション
無敵な空に飛び立って

調子に乗ればいい
猛暑のように貪欲に

厚かましく熱くなれ
猛暑のように大胆に

そういう季節
そう思い込んじゃえば

こういうモード
こういうモーション
夢も嘘も陰も鬱も
混ぜ混んで

叫んじゃえばいいZ
排他的でもなんのその

溶け落ちればいいJUMP
おっとと懐いね
な夏にいつか回収


2022年04月18日 
良い詩を書かなくていい、書けなくてもいい。



2020年09月28日
執筆欲



2019年04月28日
継続の方舟に持続の揺り籠 ~ Repetition Inspiration Reputation ~



2019年01月29日
OK Name your price GO



2017年11月30日
一瞬で書ける一行 一生で駆ける一行



2016年07月30日
『Poem GO』



2016年02月25日
限られた始まり 限られたつづき 限られた終わり



2015年09月15日
変新だぜ   【参考】 スギちゃん



2015年09月07日
無意味に据える夢と目標   【参考】 はあちゅう - 半径5メートルの野望



2015年07月28日
Poem333% Point333倍 Positive333兆



理想ばかり追いかけるのも
理知的とは言い難い世の中

理性ばかり押しつけても
理想的には辿り着けぬ距離感

感じるままに
すべてを受け止めて
今を真摯に吸い込み吐き出す

考えたすべて
試せるだけ試して
人生がひまつぷしならば
ひつまぶしでも食べながら

誰のものでもない身体
何にも遮れない心象
活かしきる鍵も
生かし抜く術も
多様な単純と複雑にまみれた自我自参




それなりに広い場所で
そんなにうるさくなくて
程良い陽射しが降り注いで
心地好い風が時折吹いて
欲求も
感覚も
感情も
思考も
ほどほどに落ち着いていて
「思い残したことはない」と
心の底から思える時に
「やり残したことはない」と
心の底から想える時に
してみたい
と、思い描けるうちが花
と、思い描ける今があれば華




ワガママ?
と思っても
意外とそんなこともなくクリエイト

客観視すれば
ワガママも 
ただのワガママにならなイリュージョン

客観視できれば
ワガママも 
ワガママなだけ、にはならなイミテーション
 
限度を超えなければ
他者との不要な衝突もディクリース
周囲との不合理なすれ違いもディクリース

求めてみれば?
全方位に承認

葛藤はあっても
いい意味での貪欲さはエネルギー

ワガママ、押し殺すよりも
ワガママ、隠し通すよりも
グラデーションをつけたワガママで
貪欲に承認を求めてGO&COME ON!





力みすぎず
抜きすぎず
焦りすぎず
止まりすぎず

シンプルだとしても
シンプルじゃない深さを

積み重ねながら
繰り返しじゃない日々へ

オリジナルな自由
イージーな修行僧に成り切り逃げ切り






まだ書ける
まだまだ書ける
だが
出すとなると
「まだ出すな」が勝る

未公開のアウトプットは
未完成のアウトプットは
引っ込み思案を気取り
石橋を叩き続けて止まない

待ってるだけ
なのかもしれない
ちょっとしたタイミングを
出すべきと想える時期を

待ってるだけ
なのかもしれない
ちょっとしたきっかけを
出したいと想える偶然を

自惚れに満ちた
未公開のアウトプットパレード

思い込みに満ちた
未完成のアウトプットパレード






結果的に、というか
途中から意識的に、という感じか
「書く」をテーマにした3篇となりました。




2021年09月04日 
「 感覚に感性に 素直に忠実に 間隔が空こうとも、完成が遠退こうとも。 」



2021年09月15日
「 Write Light Holic - 微笑みの頬つねり - 」



2021年10月10日 
「 下書きでも、殴り書きでも、落書きでも。 」





1. 金銀銅いらぬリスト



2. 電子詩集 【 無料版 】と【 完全版 】を同時リリース!



3. 「ART-SCHOOLは聴く」というバンギャ。 「Plastic Treeは聴く」というロキノン厨。



4. ~ ポエトリー ・ パレード 【 完全版 】 ~ 10th KomAnniversary( 6 )



5. 詩展2021 ~ ポエトリーオンライン 2012Dive 2016Drive 2017Dove ~ 



6. 春めいた街



7. 詩の受賞作・入選作など14篇





2012年08月03日
一人一人が出場選手なんだ。



2010年02月27日
「 努力は必ず報われる 」と何度も語り続ける金メダリスト



2012年07月28日
オリンピックで



2009年10月11日
Tristan Tzaraファンクラブ会報の1896416ページ



2012年08月15日
結果がどうであろうと全力の過程は色褪せない。



2015年02月04日
金銀銅いらぬリスト





意思か欲望か気まぐれか好奇心か
こうして今
あなたはこの詩を読んでくれている
つまり、23篇で100円のこの電子詩集を購入して頂いたわけだ。

不思議っちゃ不思議
自分の詩が売れたんだから
どう考えても売れる見込みのない詩集が売れたんだから
買ってくれたあなたにわざわざ書いて伝えることでもないが
「まさか、この詩集を買ってくれるとは」 というのが正直な心境だ。

「100円払った価値はあるでしょ?」という自信満々半分
「100円払って損したと思ってます?」という申し訳なさ半分
両極端な想いを渦巻かせつつ
真夜中の屋根裏部屋でケータイにこの詩を打ち込んでいる。

お気に召した詩はありましたか?
23篇しか収録していない詩集で満足でしたか?
あなたがわざわざ100円払って
この詩集を買って
この詩を読んで
この行を読んでくれていることに ただただ感謝を覚える。

そして
意思か欲望か気まぐれか好奇心か何となくか
動機は定かでないが
100円払ってこの詩集を読んでくれた
そんなあなたの心意気をしっかりと受け止めて
もっと良い詩を目指し
これからも詩作と試作に励まねばと 改めて深く思う。

  


 
この詩は
電子詩集「 ポエトリー ・ パレード 」に収録されています。
 
 
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(  2019年2月2日から無料公開スタート  )

 
両版ともに、1~7篇目までは同じ内容です。
 
 

 
 
 

 


弛緩する全景
すり抜けてゆく数々の春夏秋冬
繋ぎとめていたかった面影ばかり霞んでゆく

夕陽を背に
手を振り合ったランドセル
当然のように
その先には明日たちが
待っていた 待っているはずだった

随分
遠い過去のことを語るような目つき
随分
遠い未来のひとへ語るようなつぶやき

過去にできない現実を
丁寧に丁寧に
祈りに祈るように
物語へと高めていかざるを得ない

狙い澄ました
わけでもないだろうが
淡くどす黒い重底音が
徐々に徐々に、立ち込めていく最中
破裂した
破裂するはずのないものたちが
破裂した
破裂してはならないものまでも道連れに

義務を果たすように
激しく、激しく、波打った鼓動
使命を果たすように
儚く、儚く、散っていった街路樹
いつもと変わりなく
朝も夜もくり返したラッシュアワー
押し寄せる
時の砂に攫われてもなお
抗って抗って
そうすれば 忘れられるような気がして

「止めるべき」が
積年に応えるよう
説得力を増しながら
「止めてはならない」を越えていった夏

「止めたい」を
上回る勢いで
根拠という根拠が剥がれたのに
「止めてはならない」が盛り返した冬

いいかい?
そうかい・・・
噛み合わない喧々諤々
成熟の感触を
味わわないまま債務だけが肥大

言葉が泣いた
言葉になれぬまま泣いていた
詩歌が枯れた
詩歌になれぬまま枯れていった

続けてはならないことを
続けてしまう
慣れてはならないことに
慣れてしまう

ただ
その光景を見ていた
ただ
その光景を
見ていることしかできなかった

よくわかるよ
わかりすぎるよ
私も そうだったから
私も その1人だったから

  

 

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吹きつける向かい風
この寒さを味わえるのも残り僅か
そう思うと
厚めのニット帽も自然と外したくなる

長引く寒波
ここ数年で稀に見るほど寒い2月
乱れるダイヤ
各地での落雪・転落事故
うんざりするような寒さ
春への待ち遠しさを加速させる

狙い済ますというほどではないけど
少し早めに
春色中心で重ね着してみたりして
気分だけは春爛漫モードで
ただただ待ちわびるばかりの日々

春、春、春
大いに咲いておくれ
早く、早く、早く
そんなに遠慮しないでさ
春一番、一番、一番
とっとと吹いちゃってくれ

ふいに切り換わるんだろう
気まぐれなキミは
ふいに和ませてくれるんだろう
ある日を境にして
あきらかな暖かさを伴って

必ず来るとわかっていても
じれったさはどんどん募ってしまうよ
必ず来るとわかっていても
当分来ないんじゃないかと不安にもなるよ

春、春、春
大いに咲いておくれ
早く、早く、早く
そんなに遠慮しないでさ
早く、早く、早く
全国民を代表してお願いしますよ

    


 
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華やぐ赤日の高層
目に入れても痛くない素振りで
有無言わせず
ベールの向こうへ手招き

「こんなはずでは・・・」と
口には
出さなかったのが
何よりもリアルな証拠となって
後味を
薄めていくばかり 神妙と

遠去けすぎたリスクは
コストを通り越したのちにもはや幻想
薄々
気づきながらも
祭り上げずにはいられなかった
未熟なコンプレックス

「こんなはずでは・・・」と
喉から
零れかかったのが
何よりもリアルな確証となって
継続を
避けられるはずだった 慎重と

言いたいことが
言うべきことが
さらさら
 さらさらと
許認可を求め
 監視カメラの路地に 蜿蜒と

善と悪が
得と徳が
しらしら
 しらしらと
許認可を求め
 口コミの大通りに 奄奄と

   


 
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枯れ落ちた瞼
左手の甲に乗せて
生前にしておきたかったこと
生前にしておくべきだったこと
今さら、今さら

口にすれば
三行で事足りること
言い淀んでるうちに迎えたその日

示し合わせたような
北北西の風に合わせ
小刻みにゆれる木漏れ日が縁取る
数々の慈しみに満ちた温もり

セピアに色づいてしまう前に
モノクロに染まっていく前に
目の前にはもういない
目の前にはもう返ってこない
だけど
何か形にして受け継いでおかねば

回る針が速度から解放されて
回る足が強度から解放されて
理想郷にも等しい未来
夢見続けているのは
その愚直な意志の名残でしょうか

諦めきれない茜の短冊
拭いきれない茜の星屑
あの三行が
この胸の中で行き場を失くしたまま
どっぷりと深みを増していく

春が、夏が、秋が、冬が
当たり前に香らせて今年もまた通りすぎて
晴れが、雨が、曇りが、雪が
当たり前にくすぐって今年もまた通りすぎて

思い出したように
左手の甲の瞼をそっと舐めれば大層な雲は
風に飛ばされながら
細かく千切れて
告別を象徴する切り画となった

    


 
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窓から滲んでくる
環状線を行き交う車の音
ぼんやりとしたそれは
ふるさとの浜辺で聴いた
波の音にも似ている

時折
近づいてくるヘッドライト
住宅街を
さっと擦り抜けてゆく

長い夜になりそうだと
千鳥足のアラブ系住民が
歌うように駅の方へ向かう

よくできました世界
今日も、ほんとよくできました
疲れた身体を労わる
深い蒼い夜が続いていく

片づけなければならないこと
とりあえず明日の朝までに仕上げるべきこと
絞り込んで
グゥ〜と腕を伸ばし
窓からの風を
大きく深呼吸して
2階からの
夜景鑑賞を終わらせる

窓から
うっすらと光が滲んでくるまで
一定のボリュームで
環状線を行き交う車の音は
あの日々の波のように響き続け
鼓動の目安として寄り添ってくれる

   


 
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サッカー中継に
皆が夢中の時間
私は一篇でも素晴らしい
詩を書こうと
ああでもない、こうでもないと
ノートに書き殴っていた

本当は少しだけ
サッカーの結果も気になってた
けれど
ここで皆と同じように
サッカーを見て感動してては
いつまで経っても
私の力で皆を感動させることは
二度と無理な気がして
今は書かなきゃと
妙な自惚れと使命感に燃えてた


歓声が聞こえてくる
テレビ画面を破る勢いで
歓声が聞こえてくる
一階の茶の間からドカーンと

私もいつか
あんな歓声を
この詩で、この存在で
巻き起こせたらな
巻き起こさなくちゃ


サッカー中継が終わって
皆が寝静まる頃
いくつかの詩ができていた

この中の
原石を磨き抜き
素晴らしい一篇を完成させ
明日届けたいな
世界に届けないとな

    


 
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誰もいない
誰も歩いていない
台風だから
台風が来てるから

雨が強い
風が激しい
台風だから
台風が来てるから

いつもなら
ここら辺で立ち話してる
おばさんたちも
今日はさすがにいない
台風だから
台風が来てるから


ビショ濡れは嫌だけど
気兼ねなく
視線を気にせず歩ける
誰もいないから
誰も歩いていないから

靴はズクズク
ズボンはドボドボ
シャツはビチャビチャ

でも、心は笑顔
ぼくにとっては あるきびより
台風だから
台風が来てたから

    


 
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水面に映るシルエット
夢中に 冷静に シャッター
永遠にできぬ水仙
永遠にしようとして止まない


午前の陽射しに包まれ
和らいでゆく斜線の横顔
するべきことに追われた
したいことに押し潰された
昨日までを浄化するように
私たちは
天空を見上げる蟹を見つめる


覚えていて
くれなくていい

思い出して
くれなくていい

この心だけがきっと
また 一人で思い出すから


最初で最後の
旅になりそうな予感
何度も何度も拭おうとして
慣れぬ冗談で茶化そうとしたり
今までしてあげられなかったこと
ふんだんにサプライズに包み込んだり


最後とわかっていたから
こんなに 頑張れたのかもしれない

最後とわかっていたから
あんなに 笑ってくれたのかもしれない


キャンドルが揺れる
寄せ合う肩を縁取っていく

夜が深まっていく
朝を遠ざけるように
互いの未来を鎮めるように

    


 
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掴みかけては
率先して自ら撤退
優柔不断を
反省どころか 美徳とさえ思っていた日々


何を売るべきだったのか
何を得るべきだったのか
自分で自分に問いかけずにはいられない
鏡に駆け込むたび
何十分も仕事を忘れて 詰問苦悶で


処刑台代わりの夏の陽射しのホーム
容赦なく
露にされてゆく
この身体の、この志向の、この感性の、この
習性の、この自制の、この記憶の1番、1番
素晴らしくて
 素晴らしくて
  素晴らしくて
  それはそれは醜いとこをピンポイントで


メラメラ
 ゆら、ゆら
  無声音をこだまさせる白線の内側
メラメラ
 くら、くら
  落涙を汗に馴染ませる白線の内側


何かが楽になるような気がして
何かがはじまるような気もして


しらふでギコチないホップ
千鳥足のようにはいかないステップ
夏の陽射しを
静かに照り返す黒い革靴が
白線の外側で
わたし発とはとても思えないジャンプ

    


 
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眠らない街でも
さすがに鎮まる真夜中
本格化する工事
煌々と照らされる
    無数の影が
       人知れず 汗をしたたらす


遠目に見つめても
何が進展しているのか
昨夜と今夜だけではよくわからない
中長期的な過程を
黙々と 黙々と 彼らは積み重ねていく


何階建てになるのだろうか?
何万人の人が一日に利用するのだろうか?
ひたむきな影の一つ一つが
壮大な未来を この鼓動に描かせる


何をするでもない風呂上がり

窓辺で
夏の夜風に当たりながら

 今夜も
      その工事を  子守り歌を聴くように
                いつまでも見守っている

    


 
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何もない交差点
小学校のプール脇に位置する
小さな静かな夜の交差点

闇に溶けた
黒のワンボックスカー
その周りに五、六人の男女
小さな声で
今日を振り返ったり
明日の予定を話し合ったり
長い6月の夜を楽しんでいる

それは まさに青春
遠目から見ても青春
あれくらいの年頃
私は何をやっていたんだっけ
思い返すだけで
切ない風が巻き起こる

似たようなこと
していたんだろうけど
あの頃には
それも 日常の一部でしかなく
そんなに
ありがたみも感じず
よく噛み締めていなかった

何もない夜
何もない交差点
ありふれた一日だったとしても
そこで別れを惜しむように
会話を交わせば
それだけで満たされた
あれは まさに青春だった


 


 
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食べごろかな
そろそろいいころじゃないかな
独り言を重ねながら
ホットプレートで

今夜は焼肉
ワイワイガヤガヤ
人の声は全くしなくても
ワイワイガヤガヤ
具材たちは小気味よくやかましい

何を食べたのか
記憶に残らないようなものばかりではなく
あれを食べたと
翌日になってもしっかりと
覚えているような歯応えのあるものを

材料を買いに行って
値段と相談して
トントンと切り分けて
食器の準備をして
プレートに並べて焼いていく

無理しない程度に
カロリーなんかも気にしつつ
神経質になりすぎずに
焦げ過ぎないように気を遣いつつ

時間をかける
ってほど時間もかけてないけど
過程を大切にする
ってほど長々とした過程でもないけど

「いただきます」を迎えるまで
たまにはこうやって
ちゃんと手を尽くしたくなる
一人暮らし三年目の春

 


 
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遅かれ早かれ
向き合わなければならなかったのだろう
当事者ではないのに
緊張で心臓がどうにかなってしまいそう


光と闇が
階下で 
息を潜めるような静かな声で
これまでの
鬱積や疑義を突き合わせている


いくら観察者とはいえ
それは抽象の糸にまつわること
口を挟む余地はない
しょせんは他人事にすぎない
強がりな部分は多々あるけれど
事態の推移を 見守ることしかできない

 
この後
闇は
どんな顔をして
このことを僕に話すのだろう

その時
僕は
どんな顔をして
その話を聞けばいいのだろう

 


 
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宿題、テスト勉強、模試対策・・・
一つ一つがつながっているようで
一つ一つが断絶しているようで

何を言っても
時は待ってくれる気配などなく
誰に嘆いても
最後には自分で背負うしかなく

ぼんやりとしたままの未来に
形式ばった夢をまぶし
勉強漬けの根拠とするが
全力の波は日々の気分に流されやすい

勉強しながら
これでいいのか
このままでいいのか
絶えず迷いながら進み
怠けがちな身体はスケジュールで縛り上げ
今朝も早めに登校して自主勉

スッスッ、トントントン、スッスッ・・・・・・
ノートやプリントに
埋められていく文字が静かに響く
窓の遠くからは
朝練の声が潮風のように滲む

「おはよ」と
言われて顔を上げると
ここ最近
勤勉の原動力となっている
控えめな微笑がそっと咲いていた

 


 
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そこから見れば
快晴にしか見えないのだろうが
ここから見れば
ひとしきり土砂降りのような悪夢

手渡しておくべきだった
 吹き荒れる直後の懺悔も
 ほどなく形式的な表層に漂着
代案らしい代案も出さず
 議論することの価値を議論し
 いたずらに後らかしていく腐臭

何度目の過ちか
数え、分析し、評価するのが馬鹿らしい
忘却を危惧していたことさえ
なめらかに忘却していくことに慣れっこ

奏で落ちる弦楽
憂いを増していく夜半
気軽な現実逃避とは思いつつ
落涙することでしか
この時代に この場所で
 絶望に浸ることも満足にできそうになく

 


 
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振り返る
べき時じゃない時に振り返り
ああでもない
こうでもない
結論なき迷路へと進んで迷い込む

何もかもが
芳しい手招きで誘っている
目移りさせていては消失の一途だよ

何を犠牲にして
何を無駄にして
ここまで来たのかなんて考えても
それらしい答えなど
それらしい応えなど

永劫回帰を思わせるしぶとさで
命題は巡り巡って
さっき昇ったばかりの陽を落としていく

その横顔だけで満たされたなら
こんなに悩まずに済んだのかもしれない
時間軸に犯されてしまった
「孤独」とはもう呼べない鬱を抱えながらも

わたしは振り返るのだろう
何度も、何度も、こうして振り返るのだろう
それだけは確実だ
それだけしか確実なんてないんだ



( 第64回 瀬戸市文芸発表会 詩 入選 )




何をやってるんだ
何がしたいんだ
続く晦渋の自問自答が虚空に響く

嘘で塗り固めた経歴は
当人でさえもいつからか
どこからどこまでが嘘なのか
真実と見分けがつかなくなってしまった
身勝手な原罪意識がもたげ
相槌を打つことさえ
打算に過ぎないのではと躊躇わせる

白銀の摩天楼
焦がれた思春期の残像
齧り倒した喪失の初春の名残
狂おしい濃度で畳み掛けるすべては
走馬灯のようにもったいぶった加速度で
あらゆる神経を瓦解させ
深海へと不埒に寄せては返していく

五感が不感症を患って久しい
最後に鏡に向って微笑んだ記憶も危うい

パン滓の残る
トースターからは
焦げついた匂いがうっすらと
火葬のような趣でうっすらと
漂いつつ
鼻元をくすぐっては 薄れていく今朝だった



( 第49回 岐阜市文芸祭 現代詩 佳作 )




肯定も否定もされず
曖昧な「いいと思うよ」で
ぬるま湯の中
認められも許されもしないまま
漂い続けている
たぶんこれからもそんな予感

時代
といってしまえばそれまでだが
世代
といってしまえばそれまでだが

少子化や晩婚化を背景に
草食と肉食に振り分けられてしまいがちでも
その本質で蠢いている雑食精神

内向きやら受け身やらなんやらと
レッテルを貼られがちな氷河期にあっても
その深淵には燃え滾る暖炉がある

悲観しようと思えば
いくらでも悲観できてしまう
絶望しようと思えば
いくらでも絶望できてしまう
「現代は・・・」なんてそんなもんさ
「最近の若者は・・・」なんてそんなもんさ

いっちょ
境界線を引き直してみるのも一興
いっそ
世間のモノサシと距離感を保つのも一驚

現実も理想も平等に吸収しながら
謙虚と遠慮を履き違えず
この時代の
「若者」なりにその若さを活かせばいいさ
この世代の
「若者」なりにこの若さを活かすとするさ



( 第40回 羽島市文芸祭 現代詩 入選 )




ニット帽の幼女
白髪交じりの老女
スクロールする駐車場で
台本でもあるかのように立ち止まる

言語なき会話
紡がれる身振り手振りの無重力
窓越しに観察する月曜日のわたし

縁取る午前の陽光
遮り始めた厚い灰色の雲
促されるようにして
幼女の母はマフラー片手にやって来る

水たまりもないアスファルトにも関わらず
陽光はプリズムと見紛うばかりの細やかさで
透明な黄金色の額縁そのものとなり
その三人を静かに縁取っていく

世界は
わたしが想うほど
素晴らしいものではないのだと
世界は
わたしが想うほど
くだらないものでもないのだと

教え諭すかのように
午前の陽光は
ふんだんな慈悲を
未だ見ぬ午後へと受け継いでゆく



( 第53回 大垣市文芸祭 詩 佳作 )




ひまわりを背に
端正な顔立ちがしっとりと崩れてゆく
シャッターの音が
シャッターの音だけが
あたり一面に 静かに 降り注いでゆく

火曜の午後
思いつくまま講義をすっぽかし
キミを連れてやって来た
壮大なひまわり畑

夏はまだまだこれからと
自分で自分に言い聞かせたくて
雑誌カメラマンを真似て
その儚さを 永遠にしようと想った

振り切るように
思い出すように
ふいに走り出すなめらかな被写体
その姿を追ううちに
撮ることが どんどんカタルシスに

どこに行くかさえ聞かず
黙ってついてきて
モデルよりモデルらしい
モデル然とした振る舞いを始めた時
久しぶりに
その全身から”女”を感じた
ため息を忘れるほど”女”を感じた

汗なのか涙なのか
よくわからないものが
その頬を この頬を つたってゆく

シャッターの音が
シャッターの音だけが
この葛藤を縫い ひまわりを潤してゆく



( 第46回 多治見市文芸祭 詩部門 入選 )




愛に紛れた憎悪が引き千切る
崇高な結び目を容易く
歴史的経緯を踏まえずに
考慮らしい考慮の跡も残さずに

中枢を巡る空虚な交響曲
場末の雑音と大差ない不協和音
表向きはスーツでマニフェストをビシッと
内輪においても理想論でネクタイをキチッと
ただ口から出る内実は
思いつきか単調かの軽薄止まりの能足りん

後先の枠外で重なる躊躇
臨機応変より整合性を重んじるあまり
修正よりも保身に腐心していく悪循環
その傍らで置き去りにされていく真実たち

巧妙な間を経てから開示される
形式的なシミュレーションのお粗末さ
被害拡散の根源が
しおらしさとは正反対の振る舞いで
堂々と重厚な論理の傘を掲げて難攻不落演目

何が国家だ
責任のかけらも滲ませないくせに
何が国民だ
数年で忘却にかまけて他力本願のくせに




求めちゃいないよ
気にしてなんかいないよ
わざわざ言明するのが胡散臭いよ
わかってるよ
わかってるけど
否定せずにはこの
なけなしのアイデンティティは
廃れちまうってもんよ

焦がれてるよ
ああ焦がれてるよ
ランキングというランキングに
音楽も、文学も、経済も、何もかも
上位ばっかチェックして
その上っ面ばっかチェックして
その時代に後れまいと
その世代に遅れまいと
インスタントな快楽を注いでたら
ほらまた夜明けだよ
そんなん繰り返してるよ
認めたかないけど繰り返しちゃってるよ

こんなアウトプットから
生み出されるインプットなんて
そんなインプットから
導き出されるアウトプットなんて
わかっちゃいるけど
かっぱえびせんと同じだよ

残念ながらないんだよ
拠り所が
震えなくて済む拠り所が
思わず叫ばなくて済む拠り所が
ランキングしか
ランキングしか




 寂しくて寂しすぎて
そこら中の携帯を徐に鳴らしていく
すぐに返答か返信は来て
少し満たされて
わざわざ時間割いて会ってくれる人もいて
なのに会ったら会ったで
数分もせずに虚しさの極み

何がしたい? 何もしたくない。
何をすべき? 何もしたくない。
と言いつつ
携帯だけは肩身離さず持ち歩き
今日も用もなく
寂しさに押されるがまま
君らの携帯を鳴らしています

寂しくて苦しくて
何が?と聞かれたら「特に・・・」
切なくて苦しくて
大丈夫?と聞かれても「うん」としか

高層の窓明かり
あの一つ一つで練られている
その構想にひけをとらない生き方を
できた今日だったのだろうか
できた昨日までだったのだろうか
声にならない
してはいけない独り言を繰り返すうちに
なんとなく頼んだ
フライドポテトが冷めていく




放り投げられたタオル
頑として掴もうとしない主義
一歩間違えば
要領が悪いとしか映らない

どんなに時代が流れても
根本的な生き方までは変えられない
時を経るごとに
無理してまで変える必要はないと痛感

逃げても逃げても逃げ切れない
それをマイナスと捉える時間も過ぎていき
やがてすべてはポジティブへと結ばれる

現実は甘くないが解釈の匙加減は無限大
突き抜けるべき瞬間はそれぞれの鼓動の中に
想像は甘くないが創造の醍醐味は無限大
焚きつけるべき瞬間はそれぞれの志向の中に

ペースがある
そのペースをまずは把握する
刻々と変わるそれを
他人事のように俯瞰して束ねていく

難しいことほど意外と簡単なもので
簡単なことほど意外と奥が深いもので

着地する寸前の
タオルを視界の片隅に見つめながら
まだ
そのタオルは必要ないと
冷静にハンドリング




自堕落の極みをなぞる
土曜、日曜のような平日を延々と
貪りつくすインスタント食品
満たされたらすぐエロ動画めぐり
肝心なことは遠まわし
暮れていくだけの毎日
拍車をかける要領の悪さと非効率性
履き違えも甚だしい芸術性を振りかざしては
正当防衛には程通い口実をこねくり回し
愛なき哀に耽りに耽って
時代錯誤としか言いようのない
悲劇のヒロイン気取りでのらりくらり
許されない生活水準の中でぬくぬくと
罰はいつ振ってくるのでしょう?
罪とはいつ向き合えるのでしょう?
根本的な問いさえも
単独では見つめられなくて
他力本願に他力本願を塗り重ねる自堕落




良く
見せようと見せようと思うがあまり
付き合って2週間の彼女に
「ここは俺が奢るから」と
今月は余裕がないことをひた隠す

良く
見せようと見せようと思うがあまり
ニートの息子に
「最近、就活はどうなんだ?」と
面と向って尋ねることもできなくなった

良く
見せようと見せようと思うがあまり
普段はそんなに話さぬクラスメイトに
「数学、何点だった?」と
苦手な数学で自分がいい点をとれた時だけ
自分から積極的に優越感を狩りに行く

疲れますね
思い返してその自分と向き合うと
嫌になりますね
改めてその自分を自覚しちゃうと

この「~ますね」という
共感を求めるような問いかけ自体が
自分を良く
少しでも良く
見せようと思ってしまう
私自身を表わしているのでしょうね




2011年03月28日
われわれはどこかへ向い われわれは何者かになり われわれはいつかに応える



2011年04月23日
「 原発を今後どうすべきか 」



2011年07月10日
尊 ~1人1人の考える姿勢~

2011年08月17日
「 大震災の年 」



2012年03月02日
再稼働するか廃炉にするか。



2012年11月26日
知らずに済んだフクシマ



2013年02月19日
除き、洗いました。



2013年03月11日
忘れても、忘れても、忘れられない日



2013年07月02日
たとえば、今日で世界が終わるとして・・・



2020年06月25日
帰れない帰りたい





買いにいったんだ
買いたいモノがあったから
買いたくて仕方がなかったから

どうだろう
どうなってんだろう
買いたいものを見た瞬間
それは色褪せ始めていて
それでもやはり買わずにはいられなくて
結局は買うんだけど
買いたいものを買った瞬間
それはもう枯れてしまっていて
それでも「買ってよかった」と
納得するしかなくて

あっけないものだね
買いたい欲求なんてね
あっけないものだね
あんなに買いたかったモノなのにね

買いにいったんだ
買いたいものがあったから
買いたくて仕方がなかったから
たしかに買いたいモノがあったから
たしかに買いたいはずのモノだったから

認めたくないけど最近は
「買う」を「会う」に置き換えても
「モノ」を「人」に置き換えても
違和感らしい違和感がない僕らだよ




「見せモノじゃない!」
理解できる
共通言語をもっていたとしたら
彼らだって
そう言いたい日があるんじゃないのかな

親子連れやカップルたちの
笑顔を咲かせるために
せっせと一芸を
来る日も、来る日も磨き上げていく

「この仕事、辞めたいんです」
と自分から言うことのできない彼らは
駄々をこねるか
 体調を崩すか
  人を傷つけるか
   老化を待つかして
    客寄せ稼業から離れていく

ベテランだろうが
引退間近だろうが
辞めたいときは辞めたいんだ
辞めたいときが辞めどきなんだ

衣・食・住に恵まれた
それと引き換えに
野生のように伸び伸びとはできなかった

幸せなのか
不幸なのか
はっきりとしない瞳で
 檻の向こうの空を 見上げていた



その車両には誰も乗っていなかった。
ドアが開いて乗ってみると、燕尾服を着た一人の老紳士が立っていた。「ようこそ」と、しっかりと距離感を保った声でお辞儀され、こちらも軽く会釈した。車内はよくあるメトロの構造。ただ、中吊りを始めとする広告はなく、乗り降りの際の安全を訴える車内アナウンスも聞こえない。製造されたばかりの車両であるかのように、きれいなつり革と座席と車窓が車内灯に照らされてよく目立つ。

メトロが動きだしてから、ゆっくりと左右の車両を見渡してみた。この車両と同じように誰も乗っていない。さっきの駅で乗ったのは私だけのようだ。老紳士に色々と尋ねようか悩んでいるうちに、メトロは次の駅のホームへと滑り込んでいく。駅名看板に、「しょう」というひらがなが書かれている駅に。

---------------------------------------------------------

駅名に疑問を抱きながら降り立ったホームは、とてつもない広さだった。アフリカの広大な大地のようなホームに、無数の揺り篭が並んでいた。生まれて間もないであろう赤ん坊を抱く揺り篭。どこまでも、どこまでも、眼前を埋め尽くすかのように並んでいた。

驚きを隠せない私を察してか、老紳士は「これから、このような集団的光景をご覧頂きます」と告げた。「どういうことですか?」と問いかけた瞬間、眼前は無数の揺り篭から、無数のランドセルを背負う小学生の集団に変化した。広大なホームを黙々と歩んでいく色とりどりのランドセルたち。千とか万とかいう数では収まらないランドセルの群れに唖然としていると、「次の駅へ」と老紳士に肩をそっと叩かれ、再びメトロに乗り込んだ。

次の駅に着くまでに、私は老紳士に向って矢継ぎ早に疑問をぶつけていった。「このメトロやホームはどういう仕組みなのか?」「あなたは一体、何者なのか?」・・・尽きぬ質問を柔和な笑顔でかわし、無言を貫き通す老紳士。こちらから何を聞いても答えてくれそうにない。「そろそろです」という声とともに、メトロは「ろう」と書かれた次の駅へ滑り込んでいく。


---------------------------------------------------------


ホームには無数の群衆。赤ん坊や子どもではなく、大人だ。恍惚な笑みをたたえながら行き交っていたのは、無数の新郎新婦たちだった。その幸せそうな雰囲気につられ、思わずこちらも笑みが零れる。

しかし、すぐに新郎新婦たちの姿は消え、ホームは目まぐるしく場面展開していく。夫婦と子どもたちの一家団欒、独身の男女などが仕事や趣味に打ち込む様子・・・次々と現れては消える場面。走馬灯のように、引っ越し、一人暮らし、シェアハウス、就職、転職、退職、Uターン、Iターン、Jターン、結婚、離婚、再婚、出産、子育て、子の自立、疾病、介護、事件、事故、災害など、様々なライフサイクルの転機を象徴する場面が続く。ただ流れていく場面を見ているだけだったが、じっとりとした疲労感が募った。映画館を出た直後のように、両腕を思いっきり頭上に伸ばして身体を解していると、老紳士に「参りましょうか」と言われ、メトロに乗った。

---------------------------------------------------------

次の駅はすぐだった。「びょう」という看板が立つその駅のホームには無数の病院。1つ1つの病院から、飛び出す絵本のように、眼科、耳鼻科、皮膚科、泌尿器科、内科、外科など様々な診療科が克明に見える。赤ん坊の泣き声、子どもの笑い声、緊張した面持ちの患者、祈るような瞳で手術を待つ患者の家族、患者の応対に追われる看護師、冷静に手術を執刀する医師の様子など、様々な場面が流れていく。目を背けたくなるような場面も多々あったが、なぜか、流れていく場面の1つ1つから目を離すことはできなかった。大きなタメ息と深呼吸を1つしたところで、老紳士に「次の駅が最後です」と促され、重い足を引きずりながらメトロに乗った。

---------------------------------------------------------

最後は「し」という駅だった。広大なホームには、葬儀の座席が並んでいた。前方の遥か彼方から、数えきれない煙が、淡々と上昇していくのが見えた。「火葬場の煙?」と思った瞬間、場面は一気に切り換わり、無数のお墓が現れた。伝統的な和風の縦型、西洋風の横型など、様々なお墓が整然と地平線まで埋め尽くすかのように並んでいる。

それまで控えめに後ろについてきていた老紳士が、すぐ隣に来てゆっくりと話し始めた。

「ここまでの4つの駅を通じて、大まかな流れをご紹介しました。これらは、『人生』というもののごく一部です」。

私は静かに頷いた。

「どのように生きてゆくのか、死んでゆくのか。それは、環境の多様性、あなたの選択・自由・柔軟性・価値観の折り合いに左右されます。私の案内はここまでです。では、よい人生を」

見送る老紳士に感謝を告げ、メトロに乗った。

ゆっくりと穏やかに走るメトロ。

目指す先にある駅を、私はもう知っている。

そう、「たんじょう」と名づけられた駅だ。

車内の電光掲示板には、「あと、十月十日」と出ている。

しばしの仮眠をとるには十分すぎる時間だ。

私の瞼が静かに閉じていった。



大・長・多は
開放と回帰を実現する。

意図としても
印象としても
両極ではあるが
構造や物語が強くなるか
多様や分散が濃くなる。

視線の獲得か
刺激の喪失かの差しか底にはなく
点もあふれ
天もありふれ
あまねく愛は朝のように洗われる。



小・短・少は
凝縮と放射を実現する。

意図としても
印象としても
両極ではあるが
断定や画一が強くなるか
推量や曖昧が濃くなる。

単純な闘争か
短絡な逃走の差しか底にはなく
点もあふれ
天もありふれ
あまねく哀は雨のように愛される。



「帰りたい。
 もう一度帰りたい」
顔を合わせるたび 口に出る台詞

帰れない
当分、帰れない
下手すれば 一生、帰れない

わかっているから
なんとなくでもわかっているから
口にせずにはいられない
「帰りたい」とくり返さずにはいられない

幼くても
周りの大人やら
テレビのニュースやら
学校での噂やらなんやらから
敏感に 嗅ぎ取っているのだろう

どれだけ除いても
どれだけ洗っても
あの頃の風景は帰ってこないと
あの頃の世界にはもう帰れないと

自然と
口癖になったのではなく
自覚的に 口癖にしたのだろう

帰れないとしても
「帰りたい」という想いを失わぬように
そう想う今を
決して、決して忘れてしまわぬように

彼女は
「帰りたい」を
口癖にしようと 決めたのだろう



                ( 第39回 羽島市文芸祭 現代詩 佳作 )




梅雨を経て
伸びに伸びきった芝生
さすがにそろそろ刈らなければと
精を出した
真夏手前の土曜日

芝刈り機を
買うほどでもないスペースに身を屈め
剪定バサミで
チョキチョキ、こつこつと芝を整えていく

とことん綺麗にしても
すぐにボウボウと元通りになる季節
あまり神経質になりすぎず
大まかに芝の高さを揃えていく




休憩を挟まず
一時間くらいかかって
まあまあの見栄えが完成
汗や風とともに
散髪に行った後のような爽快感が流れる

剪定バサミを片づけ
ほうきで刈った芝を集め
可燃二十リットルのゴミ袋一丁上がり!
景気づけに水を撒いていく

ホースから
穏やかに放たれた放物線
その先に
うっすらと虹が架かってゆく

こんなことで
これだけのことで
土曜日は
まだまだ長いと想える



             ( 第48回 岐阜市文芸祭 一般の部 現代詩 佳作 )




 
時の問いかけに
とまどいながらも
特別な大切と

ため息つき
躊躇いつつも
試す尊さを



真っすぐな祈り 
今こそ もう一度


祈っても 
変わらなくても 祈らずには 


間違ったとしても
後から何度でも
くねくね回り道ドキュメンタリー


思い立ったなら
スピードに任せて
大胆に乗り込んで
祈りの溢れるあの海へ


これだけでいい
この祈りだけでいい
そう思いきれる祈りは
めったに注いでこないから


優雅に羽ばたいて
いるように見えた 大空


あの鳥には
鳥なりに
生存の葛藤があるのだろうか


突然に
忍び寄る光も招き寄せ
飛び立つことを選び取った 無邪気な老父のようで


空を渡るように 
海を飛んでいけたらと 祈りの数々 どこか似ていて


望んでいた
未来とは違っても
この希望は希望として 今にしっかりとつなげて そう



こだわるがあまり壊れていく 空までも
壊れていくほどに焦がされる 海さえも



真っさらな願い 
今だから もう一度


願っても 
変えられなくても 願わずには 


間違えたとしても
後から難度でも
山あり谷ありアドベンチャー


思い描いたら
クオリティに縛られず
最善を詰め込んで
願いの溢れるあの空へ


これだけでいい
この願いだけでいい
そう思い込める願いは
数えるほどしか降らないから


緩やかに泳いで
いるように見えた 海原


あの魚にも
魚なりに
実存の危機があるのだろうか


唐突に
降り注ぐ闇も抱き締め
泳ぎ抜くことを選び取った 無限大な少女のようで


海を渡るように 
空を泳いでいけたらと 願いの数々 どこか似ていて


願っていた
時代とは違っても
この理想は理想として 今にしっかりと溶かして さあ



あの鳥も
あの祈りよ
あの海へと


あの魚よ
あの願いも
あの空へと



【 参考 】

LUNA SEA「Make a vow」
https://www.youtube.com/watch?v=_-BwI0cVE1I





< LUNASEA関連のブログ記事 >


レビューブブログ
LUNA SEA関連のレビューまとめ


雑記ブログ
LUNA SEA(ルナシー)雑感




すれ違わない街角
風を切って歩く寂寥


大衆がいなければ
孤独も思うように味わえないと
身をもって知る4月下旬


ふいに出会っても
立ち話さえもそそくさと
アンドロイドよりも
ヒューマノイドよりも
ぎこちないヒューマン




医療用でも
スポーツ用でも
なさそうなゴーグル
つけた人とすれ違う交差点


開け放たれた
カフェチェーンのドア
店員の気配すら希薄で


レジも
受付も
飛沫感染対策でビニールカーテン
しっかりとマスク&手袋
トレーにもビニール


開けたままの窓
この季節にしては肌寒い
寒暖差が続く日々




ロックダウンにしきれない
中途半端な移動制限の箱庭


後手後手に縛られた政府
先手先手せっつく都道府県


休業要請
遅れてしまう補償
全然足りない模様


緊急事態宣言下
目視で数えられてしまう繁華街
移動量はデータ
補足されるリアルタイム




ステイホーム
良くも悪くもカジュアルな響きに


命令されなくても自粛の波
どうしても際立ってしまうマイノリティ


強制されなくても自粛の波
平時以上に強風に晒されるアウトサイダー


暗黙の了解
煮え切らない感覚
押し隠したまま感情
お互い様でストレス飽和




ソ ー シ ャ ル ・ デ ィ ス タ ン ス 
自 覚 的 か
も う 自 然 化
い つ か ら か
意 識 し な く て も
空 白 に 満 ち た 距 離 感 ダ ン ス




オープンエア
普段なら人気のない公園も
どこからか
気分転換の皆様ちらほら


時間差でも
まとめ買いでも
3密解消は難しき
ご近所のスーパー&ドラッグストア


思いつきのポエム
風景描写も
狙い過ぎた
現代アートみたいなぎこちなさ




ネットに
おうちに
オフィスに
こもりきって浮かぶ軟弱と柔軟


ねえウィルス
今はどこで感染拡大していますか?
今はどれくらい増殖拡散しているんですか?




まだ
まだまだ
「ただいま!」って
大声が溢れていた日々には


まだ
まだまだ
「行ってきます!」って
駆け出していく日々には




まだ
まだまだ
いつまで続くのだろうか
どこまで続くのだろうか




それでもまだ
思い描ける
思いっきり深呼吸できる あの季節を


それでもまだ
想い求める
思うように無限大に繋ぐ この未来を




過ごした青い春
再生し続けては
つれない想像に火をつける

どこまでも
どこまで出来るのか
試すように
確かめる歩みを



香る樹木
訪れ始めた鬱蒼

今年もまた
控え目に
静寂の木漏れ日

齧る
鼻に抜けて
パッと広がり
つられて思い出す感慨



あの哀悼も
忘却のモダンに
消えゆくとしても

あの鮮やかも
輪廻の藻屑に
消えゆくとしても



過ぎ去った赤い夏
巻き戻し続けては
つたない創造に薪をくべる

いつまでも
いつかで叶うようにと
確かめながら
試すような道のりを


香る彼方に  揺られながら
齧る貴方に  塗られながら
変わる数多に 振られながら




【 関連日記 】




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【 関連日記 】




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